【連載◎開発現場から時代を眺める by arton】第1回

単にプログラミング言語オブジェクト指向になるからプログラマだけが勉強すれば良いという考えでは変化に対応できない。設計者も,プロジェクト・マネージャも変化のただ中にいるのだ,ということを意識し率先して変化しなければならない。変化への対応とは,1970年代にウォーターフォールを採用し現在に続くIT資産を構築した先人が歩んだ道でもあるのだ。

Teamでオブジェクト指向設計に取り組まなければうまくいきようがない。オブジェクト指向とかJavaとか耳にするだけで毛嫌いしてしまうベテラン・中堅の方がいるけれど、やってみれば意外とすんなりわかるはずなのになあと思う。業務をわかっているのだから。もっと自信を持って下さい、MVCのMをつくれるのはあたなですよと言いたい。
この記事の中で言及されているソフトウェア開発にまつわる歴史っておもしろい。いままであまり関心なかったけれど。技術にはそれぞれ関連がある。ある技術がどういう問題を解決するために世に広まったのか知っておく必要があるのだな。なるほど。
ところでパラダイムって概念をつくった人(たしかトーマス・クーンとかいう人)の本を大学のとき授業で読んだな。レポート出さずに単位落としそうだったけど。その本は科学理論を論じたもので、主流である科学理論がどのように新しい科学理論に取って代わるかを説明していた。そしてその説明にパラダイムという概念をもちだしていたっけ。パラダイムの転換はいつおこるかというと、次のような説明がされていた。

まず主流の理論がある。最初はそれでうまくいく。だが、時間を経るにつれごくたまにその理論にそぐなわない仮説が出てくる。その場合それは例外的な仮説としてあつかわれる。このとき理論は依然として正しいものと信じられ続ける。さらに時間を経ると例外的な仮説がさらに出てくる。この仮説があまりにも多いと科学研究者たちの集団はいままで主流であった理論を主流とみなせなくなり、研究や教育の方向を転換し始める。これが時間をかけてじわじわと行われる。すると新しい理論を支持する者が多くなり、それまでの理論の支持者が減っていく。

こんな感じだった。パラダイムの転換は突然起こるものではなく、それにそぐわないものがあってもすぐに転換するわけではないらしい。しばらくは既存のパラダイムが通用する。というか通用すると信じられる。というような点が印象に残っている。ちなみに例外的な仮説を「アドホックな」仮説というらしくアドホックという響きが気に入った記憶がある。いま口にしてみてもいい響きだ。アドホック

ウォータフォール型開発はまさしく数々の例外的な仮説(不成功に終わったプロジェクト)の重みで瓦解寸前というところだろうか?