レヴィナス著『他者について』

ふと『他者について』という面白い本があったことを思い出した。しかし、その著者の名前が思い浮かばない。レから始まるフランスの哲学者。だれだっけ?ネットで本のタイトルを検索してやっと見つけた。そう、レヴィナスでした。数年前、なぜかレヴィナスに関する本が立て続けに出版されすこし流行っていたけれども、最近はどうだろう?と思っている矢先、気づけばはてなのキーワードに登録されていた。言及している日記も思いのほか多そうだ。
この本は他者について論じる前に存在について語っていたと思う。そして存在から自己の規定性なるものを導き出し、最終的に他者の価値に言及したように記憶する。その文章が妙にイメージをかきたてられるような書き方で印象に残っている。
大多数の人は自分以外の何かにあこがれ自分以外の何かになりたいと一度は思うものだが、最終的に開き直ったり、妙に納得したりして自分は自分だと認識する。でもこの本に書かれていることはそういう考え方のまったく逆なのです。自己はどうあがいても自己でしかありえないという絶望という足場から、その絶望から引き上げてくれるものとして他者がたちあらわれてくる。前者が個人の興味の対象において「他者(自分以外)→自己」という方向性を持つならば後者は「自己→他者」という方向性をもつ。これだけじゃ何のことかわからないかもしれないが、これは倫理学の規範ともなりうるものです。どういう規範かというと、昨今の「なぜ人を傷つけてはいけないの?」と子供が聞いてきそうな質問に論理的に答えることができるようになるという意味での規範。僕の言葉で書くと簡略化しすぎて陳腐かもしれないが、実際の文章は想像性と論理性に富み説得力がある。
いくらくらいなのかなと思ってアマゾンで調べたが売っていなかった。大学とかの図書館じゃないとなかなかないのかな?